ガラエポ切削加工に実績とノウハウあり

ガラエポは機械的特性と化学的安定性に優れた樹脂材料です。これを工業製品や電子機器の部品、自動車の内装パーツなどの用途で活用するには、ガラエポ加工が必要になります。白根電機ではガラエポの加工に長年の実績とノウハウがあります。最適なガラエポ加工製品の提供が可能です。

ガラエポ樹脂切削加工サンプル

ガラエポとは

ガラエポとは「ガラスエポキシ」の略称です。「エポキシガラス」や「GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)」と呼ばれることもあります。

ガラエポは、ガラス繊維にエポキシ樹脂をしみ込ませたものを積層し、熱硬化処理を施すことで樹脂板(ガラスエポキシ樹脂積層板)として形成されます。熱硬化性樹脂の性質を持つため、再び熱を入れても液状には戻りません。ナイロンなどの熱可塑樹脂よりも耐熱性に優れるため、高温環境下での用途に適しています。

ガラエポは難燃性や低導電性といった特性から、電気・電子部品、特にプリント基板(ガラスエポキシ基板)の材料として活用されています。機械的強度も高く、自動車や鉄道車両、航空機などの輸送機械部品にも使用される優秀な樹脂素材です。ガラエポの樹脂板は圧縮成形で生産されます。

しかし、特定の形状に加工するには切断・切削をしなければならないケースがあります。難削材であるガラエポを切削加工する際は、樹脂加工に関する専門スキルが必要です。

ガラエポの特性

機械的強度

ガラエポは引張強度、曲げ強度が高く、頑丈さが求められる用途にも対応可能です。ただしメーカーによってガラス繊維の方向や密度に違いがあるため、強度が変わってくる場合があります。

剛性

剛性は、外力がかかったときの「変形しにくさ」を表します。ガラエポは剛性が高く、強い衝撃を受けても曲がりや歪みが起こりにくい樹脂です。

熱伝導性

一般的なガラエポ(FR4)の熱伝導率は0.2〜0.3W/mKと低く、断熱効果が高いです。一方、プリント基板用途では、放熱性能を向上させるために熱伝導率を高めたガラエポも開発されています。

耐熱性

ガラエポの耐熱温度は約180℃で、高温環境下での使用に耐えられます。

難燃性

ガラエポは不燃性の樹脂素材です。プリント基板等に利用することで焼損事故の発生を抑えます。

電気絶縁性

ガラエポの電気的性質として体積抵抗率が高いため、電気・電子機器部品に使用されます。

電波透過性

電波透過性に優れることから、通信システム用素材にも適しています。

耐薬品性

ガラエポは酢酸や苛性ソーダ、アンモニア水などに耐性があります。

寸法安定性

ガラエポは強度や耐熱性、耐薬品性に優れるため、外的影響による変形が起こりにくく、製品形状を安定させやすい樹脂素材です。

接着性

接着剤のほか、耐薬品性や耐食性を活かして塗料やコーティング剤にも利用されています。

ガラエポの用途

ガラエポには多様な特性があり、さまざまな産業分野での利用が見られます。

ガラエポは電子部品や電気機器の用途が多く、プリント基板素材や絶縁材、断熱材への活用が代表的です。

さらに、鉄道車両部品としての活用もあります。緩衝器ケースや屋上カバー、クーラーケース、ミラーカバー、風防、フロントバンパー、リアバンパーなどです。

通信システム関連ではガラエポの電波透過性が活かされています。レーダードームやアンテナカバー、電波用カバーといった用途があります。

また、ガラエポは医療機器部品としても優秀な樹脂素材です。MRIの外装カバーやレントゲン用ベッドなどに活用されています。

ガラエポの産業用途も多岐にわたります。例を挙げると、耐熱性・難燃性が必要な機器・機械類のカバー、耐食性・耐薬品性が求められるタンクや容器、水槽などです。電気絶縁性の高さから、遮断機用の絶縁フランジや埋設ケーブルカバー、ケーブルラックにも使用されています。

そのほか、冷凍庫の断熱扉やハニカムヒーター、アウテリアといった用途もあります。

ガラエポの加工方法

ここでは、ガラエポ樹脂板の切断加工や穴あけ加工、切削加工について説明します。

ガラエポの切断加工

カットソーやレーザーを用いて切断します。レーザーカットの場合は、切断部分付近が炭化して黒くなるため、二次加工が必要です。

ガラエポの穴あけ加工

ガラエポ樹脂板は硬い材質であるため、穴あけには超硬ドリルを使用します。プレス加工やレーザー加工による穴あけもおこなわれます。

ガラエポの切削加工

旋盤やフライス盤、マシニングセンター(MC)、NCルーターで切削をおこないます。そもそも樹脂切削は金属切削より難しい部分があるといわれていますが、難削材であるガラエポの加工難易度はさらに上がります。

ガラエポ加工の注意点

ガラス繊維を含むことでさまざまな特性に優れるガラエポですが、加工性に対してはマイナスに働くケースが多いです。特に切削加工では、ガラス素材の性質に留意しなければなりません。

ガラエポは樹脂材料の中では非常に硬質な材料なため、切削工具としてはダイヤモンドカッターや超硬ツールが適しています。ガラエポ切削では工具や設備の摩耗が早くなる可能性があるため、こまめなメンテナンスが必要です。また、ガラエポの繊維方向を意識して切削することで、よりスムーズに作業を進められ、仕上がりも良くなります。

また、ガラエポの切削加工時には大量の粉塵が発生するため、高性能な集塵機の利用が欠かせません。ガラスを含んだ粉塵が機械のモーターや駆動部に混入すると、故障の原因となる場合があります。人体に悪影響を及ぼすリスクもあるので、作業者は粉塵を体内に取り込まないように、防護マスクや防護サングラスの着用が必要です。

ガラエポの切削には高度な技術と適切な設備が求められます。高品質なガラエポ加工を望むのなら、技術と設備の両方を持ち合わせた専門業者を選ぶことが大切です。

ガラエポ以外の樹脂板の種類

樹脂板の種類は非常に多く、ガラエポ以外にも優れた特性を持つ製品材料があります。ここでは、その中でもプリント基板に関して代表的な種類を紹介し、ガラエポ基板との比較についても述べます。

ベークライト/紙フェノール基板

ベークライトは古くから使われているプリント基板で、紙基材にフェノール樹脂を染み込ませて製造される樹脂板です。ガラエポと違って特殊な工具や設備がなくても切断・穴あけ加工をおこなえます。価格も安いのですが、強度をはじめ、耐熱性、難燃性、電気的特性といった機能面ではガラエポに劣ります。

紙エポキシ基板

紙基材にエポキシ樹脂を含むプリント基板です。性能的には、ベークライトとガラエポの中間的位置づけとされています。ベークライトよりも絶縁抵抗性や吸湿性に優れるため、高電圧回路などで採用されています。

ガラスコンポジット基板

ガラス布やガラス不織布を混合した複合基材(コンポジット)に、エポキシ樹脂を含ませたプリント基板です。ガラエポ基板と同等の電気的特性を持ちながらも安価なため、両面基板として多く活用されています。「セムスリー」や「コンポジットセムスリー」という別称もあります。

ガラスポリイミド基板

紙基材にポリイミドを含ませて製造したプリント基板です。もともと航空宇宙分野における難燃素材として開発された樹脂素材で、強度や耐熱性、絶縁性が非常に優れています。フレキシブル基板への適用が主流です。

テフロン基板/フッ素基板

ガラス布基材にフッ素樹脂を染み込ませて製造されるプリント基板です。テフロン基板は高周波特性や電気絶縁性が優秀で、さらに不燃性、耐薬品性といった特性もあります。その一方で加工性が悪く、コストも高くなってしまうのが欠点です。